小売業のワークフローシステムの選び方と事例
小売業において、社内便やFAXが意思決定のボトルネックになるケースがあります。店長を事務作業から解放し、多店舗運営のスピードを上げるには、現場の動きに合ったワークフロー選定が不可欠です。
本記事では小売業におけるワークフローシステムの選び方や導入事例などをまとめています。
小売業が直面するワークフローの
課題
店舗と本部の物理的な距離は、業務効率を著しく低下させます。多くの小売企業が抱える課題は集約すると以下の通りです。
郵送・社内便のコストと
タイムラグ
店舗と本部の間で書類をやり取りすると、郵送や社内便の到着待ちにより、判断が遅れがちです。紙の仕分けや配送、保管にかかる手間とコストも、経営を圧迫する要因になります。
店長がバックヤード業務に
時間を取られる
本来、売場作りやスタッフ教育に注力すべき店長が、申請書の作成や保管業務でバックヤード業務に追われてしまうことはあります。売場での対応やマネジメントに十分な時間を確保しにくくなる点が、現場では課題として挙げられています。
本部の集計・入力作業の負担
店舗ごとに申請形式がFAXやメール、Excelなどバラバラだと、本部での転記作業が発生。手入力はミスを誘発し、差し戻しや確認の手間を増やします。誰がいつ承認したかという統制も、曖昧になりがちです。
小売業におけるシステム選定の
失敗パターン
課題解決のために導入したシステムが、新たな足かせとなるケースがあります。検討段階で避けるべき落とし穴を確認しましょう。
ライセンスコストの高騰
全スタッフ数でのID課金を選ぶと、パート・アルバイトを含めた費用が膨れ上がります。申請・承認を行う範囲の明確化が必須です。
共用PCでの運用を考慮していない
店舗の共用PCでしか操作できない場合、ログイン待ちが発生し、業務が後回しにされます。
SV(スーパーバイザー)が
承認できない
PCを開ける環境でしか承認できない設計は、店舗巡回中のSVの手を止め、決裁スピードを鈍らせます。
店舗運営を効率化するシステムの
選び方
小売業のワークフロー選定で重視すべきは「距離の解消」と「現場の手を止めないこと」です。具体的な機能要件を見ていきます。
スマホ・タブレットで承認・
申請できるか
SVや店長が売場や移動中でもスマホ・タブレットで承認できれば、業務の滞留は劇的に解消されます。モバイル画面に最適化されているか、プッシュ通知で気づけるか、外出先から添付ファイルやコメントを確認できるかなどが、特に重要なチェックポイントです。
店舗異動・組織変更に
対応しやすいか
小売業では、店舗異動や兼務が頻繁に発生します。承認者が変わるたびにルート設定が崩れては、運用が回りません。組織改編時にルートを一括変更できるか、権限設定のメンテナンスが容易かどうかが、管理部の負担を左右します。
本部の基幹システムへスムーズに
取り込めるか
店舗で入力したデータをそのまま基幹システムへ取り込めれば、本部での転記作業を減らすことができます。入力ミスや確認コストの削減に直結するため、CSV出力の柔軟性やAPI連携の有無を確認しましょう。
グループウェア連携で管理の手間を
減らせるか
複数のシステムを行き来する手間が生じると、現場の利用率が下がります。グループウェアと連携し、認証(シングルサインオン)や通知、スケジュール確認の導線を一本化することで、システム利用の心理的ハードルを下げるのが良策です。
要件別に見るクラウド
ワークフローシステム
おすすめ3選
このように、業務文化や運用環境によって選定のポイントは変わってきます。以下の記事では、Google/M365連携、経理一体化、スマホでノンデスク対応など、要件別におすすめのクラウドワークフローシステムを掲載しています。比較・検討の材料としてお役立てください。
【要件別】おすすめの
クラウド
ワークフローシステム3選
小売業のクラウドワークフロー
システム導入事例
【ベルク】紙稟議を脱却して申請・
承認を場所に縛られない運用へ
導入前の課題
紙運用を行っていたベルクでは、申請書の運搬や管理に多大な労力を要しており、承認のために出社が必要な場面がありました。Excelフォーマットでの運用はチェック作業が煩雑で、代理申請や承認の履歴が見えにくく、ログが残らないリスクも課題でした。
導入の効果
「kickflow」を導入してのワークフローのデジタル化により、時間や場所の制約が解消。物理的な提出や管理が不要になり、業務スピードが向上しています。操作ログの取得によって統制や監査への対応も強化され、安心感のある運用基盤が整いました。
【ハローズ】Garoon(ガルーン)
+kintoneでシステム乱立を防ぎ
情報共有と申請をスムーズに
導入前の課題
利用していたオンプレミスのグループウェアのサポート終了が迫り、後継ツールの選定が急務となっていたハローズ。旧グループウェアには社内コミュニケーション機能だけでなく、基幹システムから書き出したデータを保管する役割もあり、十数年分の膨大なデータをスムーズに移行できることが最優先要件となっていました。
導入の効果
クラウド版Garoon(ガルーン)を導入し、社内コミュニケーションの基盤としてスケジュール・ポータル・掲示板・ワークフロー等の機能を活用。特にスケジュール共有により、部門の出勤体制や空き時間が把握しやすくなり、予定調整の手間が減少しました。
また、総務部では月450件規模の紙稟議の負担を背景に、2017年からkintoneも併用。稟議書や電話決裁報告書などの申請をはじめ、社用車予約兼運転日報(アルコールチェック含む)など用途を広げ、追加で専用ツールを導入せずに課題解決できる体制を構築しました。
部門別にツールが増えていく「システム乱立」を抑えつつ、ペーパーレス化やコンプライアンス管理にもつなげています。
クラウドワークフローの導入を
成功させるには?
小売業におけるワークフロー導入成功の鍵は、「店長やSVが店舗業務を止めずに使えること」です。現場の負担を減らし、本部との距離を縮めるシステムを選定する必要があります。
当メディアでは、ほかにも製造業・建設業など、業種別にクラウドワークフローシステムの選び方を解説しています。選定の参考にしてください。