稟議書を電子化する重要性
稟議書を電子化することで、申請から承認までの時間短縮、検索性の向上といったメリットがあります。本記事では、稟議書の電子化が求められる背景や、電子化できる稟議書の種類、導入時の注意点などを解説します。
電子化とは? なぜ今重要?
稟議書の電子化とは、紙で運用してきた申請書をデータとして管理・運用することです。企業が電子化に踏み切る背景には、紙の稟議書が生む「時間・場所・検索・作業」という以下4つのムダが存在します。
紙の稟議書が引き起こす4つのムダ
- 時間のムダ:承認者が出張や外出をしていると、戻ってくるまで数日間ハンコがもらえず決裁の流れがストップしてしまう
- 場所のムダ:保管義務のある書類のためにキャビネットや倉庫が必要となり、オフィスの物理的なスペースを圧迫する
- 探すムダ:過去の類似案件や条件を確認したくても、大量のファイルから探し出すのは物理的に困難
- 作業のムダ:手書き文字の判読に時間を取られたり、集計時の転記ミス・計算ミスが発生したりと手戻りの原因になる
電子帳簿保存法も「電子化」を
後押し
稟議書自体は、電子帳簿保存法の直接的な規制対象ではありません。しかし、電子取引において、見積書や請求書などは電子データとして保存することが義務化されています。
見積書や請求書がデジタルで管理される流れの中で、表紙となる稟議書だけを紙で残すのは非効率です。関連書類との一元管理を行うためにも、稟議書の電子化を今行うことは合理的と言えるでしょう。
稟議書の法的な保管期間
稟議書そのものには、法律で明確に定められた保存期間はありません。しかし、実務において注意しなければならないのは、稟議書に添付される契約書・見積書・請求書・領収書などの関連文書には原則7年、またはそれ以上の法定保存期間※が設けられている点です。
これらの文書は「どの稟議に基づいて承認されたか」を確認できる状態にする必要があるため、監査対応として関連文書と稟議書を紐づけた状態で同期間管理することが重要です。
電子化できる稟議書の種類
一般的なワークフローシステムで電子化できる稟議書の種類は、以下の通りです。
| 稟議書の種類 |
概要 |
| 購入稟議 |
備品・消耗品・システム・設備などの購入に関する稟議書 |
| 経理稟議 |
支払申請、経費精算、予算超過の承認など、金銭に関わる稟議書 |
| 人事稟議 |
採用、異動、昇格・昇給、評価結果など、人事施策に関する稟議書 |
| 総務稟議 |
社内規程の改定、契約更新、設備管理など、運営に関する稟議書 |
| 営業稟議 |
値引き承認、契約条件の変更、新規取引開始など、営業活動に関する稟議書 |
電子化の方法
ExcelやWordで電子化する
ExcelやWordでフォーマットを作成し、共有フォルダやメールへの添付で回覧する方法です。初期費用がかからず手軽に始められますが、「今誰が持っているか分からない」「スマホで承認しにくい」「版管理が複雑」といったデメリットがあり、根本的な業務効率化には限界があります。
クラウドワークフローシステムで
電子化する
クラウドワークフローシステムは、稟議書の申請から承認、保管までを一元管理できるシステムです。
ExcelやWordでの電子化と比べ、承認状況をリアルタイムで把握でき、承認漏れや停滞を防げる点がメリット。承認ルートの条件分岐や代理承認、入力チェックなどの機能が搭載されているシステムも多く、手入力や記入ミスを減らせます。
多機能であればあるほど良いというものではなく、「現場の使いやすさを重視したい」「複雑な承認フローを再現したい」など、導入する環境や課題感に合ったシステムを選ぶことが大切です。
稟議書をクラウドワークフロー
システムで電子化するメリット
稟議書を電子化する際、フロー全体を効率化するなら専用に作られたクラウドワークフローシステムがおすすめです。ExcelやWordでの電子化では補えない、ワークフローシステムならではのメリットを紹介します。
稟議書を電子化する現場のメリット
【スピード】スマートフォンでの承認で
「待ち時間」を短縮
稟議書を電子化することで、出張中や外出先でもスマートフォンから承認できる点がメリットです。
申請から承認までの時間を短縮できるため、ワークフローの停滞や承認者へ催促する手間を軽減。承認待ちで業務が止まらず、意思決定のスピード向上にもつながります。
【検索性】過去のデータをすぐに呼び出せる
過去のデータがクラウド上にインデックス化されるため、日付・案件名・取引先名などで検索できます。
類似案件の金額や添付資料、承認コメントなども確認でき、見積もりの妥当性判断にも活用可能。監査用の資料作成もスムーズになり、内部統制の強化やコンプライアンス遵守の観点でもメリットがあります。
【正確性】自動計算と入力制御でミスを防ぐ
稟議書を電子化することで、必須項目を定義したり選択式にしたりできるため、未入力や形式違いを防げる点がメリットです。
金額は数値データとして扱われるため、数量や単価をもとに自動計算も可能。紙と比べて計算ミスも起きにくく、承認者の確認や修正指示のやり取りを減らせます。
【コスト】保管スペースと印刷代の削減
紙運用で必須だった印刷やファイリングが不要になるため、物理的な保管場所は必要ありません。
キャビネットや倉庫の保管スペースを有効活用できるほか、用紙やトナーにかかる経費も削減。紙運用で懸念される、紛失や災害時の焼失といった物理的リスクへの対策(BCP)としても有効です。
システム導入で失敗しないための
注意点
自社の承認ルートが再現できるか
チェック
導入前に、自社のワークフローをシステム上で再現可能か確認しましょう。
「課長不在時は部長へ回す」といった代理承認や「金額が一定額を超えた場合は役員承認が必要」といった条件分岐を柔軟に設定できないと、手作業や例外対応が発生。電子化の効果が薄れてしまいます。
社員のITリテラシーを考慮して選ぶ
どれだけ高機能でも現場が使えなければ定着しづらいため、社員のITリテラシーに合ったシステムを選びましょう。分かりやすい例は、UI・UXを含めた操作性です。画面の見やすさや、マニュアルを読まなくても使える操作性かどうかなどを、事前にチェックしましょう。
特に紙から電子への移行では「操作が難しそう」「今までのやり方を変えたくない」といった心理的な抵抗が生まれやすいため、現場の社員目線でシステムを選定します。
ワークフローの見直しも
セットで行う
システムへ移行する前に、無駄な承認ステップや稟議種別はないか、現在のワークフローの見直しを行いましょう。
紙運用時の流れをそのままシステム化すると、本来不要な承認ステップや形骸化したフローまで引き継いでしまうリスクがあるためです。導入効果を高めるためにも、電子化を機にワークフローもセットで改善しましょう。
稟議書の電子化で管理業務の
負担を軽減
稟議書の電子化は、紙で運用してきた申請書をデータで管理する仕組みです。紙運用において起こりがちな承認待ちによる時間のロス、保管スペースやコストを削減できる点がメリット。ヒューマンエラーによる記入ミスも予防でき、データのため検索性も向上します。
導入する際は、自社の承認フローを再現できるか、現場で使いやすいかといった導入要件を前提としてシステムを選びましょう。
以下の記事では、導入要件別におすすめのクラウドワークフローシステムを掲載しています。システム選定のお役に立つ情報も紹介していますので、ぜひご覧ください。
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